LAST contract【吸血鬼物語最終章】
また何か要求してくるのだろうと。
そう思っていた僕の考えは‥‥
「ここ、海だね」
「そうだね」
「沖の方は結構深い?」
「深いんじゃない?」
「水、冷たい?」
「うん、まるで氷水の様に」
「なら、ちょうどいいね」
「‥何が?」
「今から海に入って、溺死してやるー‥ッ!!」
綺麗に、ぶっ飛びました。
僕に向かって大声で叫んだスミレは、するりと僕から離れて
‥海へ一直線~ッ☆
押し寄せてくる波をバシャバシャと踏んだ。
‥で、溺死って‥‥
「ちょっと‥ッ!!」
大声で叫ばれた影響でする耳鳴りに、足が少しふらついた。
慌ててスミレの後を追い掛けて、足を海水に付ける。
って、うわぁッ!!
スッゴイ冷たいんですけど‥!!
スミレの腕を掴んで、自分の方に引き寄せた。
するとその軽い体は、簡単に僕の胸の中に収まった。
「‥っ、も、離してよ!」
「離したら、どんどん入って行くでしょ!?」
「ったり前じゃん!!」
「なら、絶対に離せません!!」
これ、周りから見たら凄い光景だよなぁ‥。
こんな寒い真冬に、足だけでも海に浸かっているんだから。
そう思いながら、スミレがこれ以上海へ入って行かないようにその体を抱き締めた。
海水は相当冷たかったけど、スミレの体は温かかった。