LAST contract【吸血鬼物語最終章】
次は正面から抱き付いてきたその小さな体は、寒いせいか小さく震えていた。
‥‥もしかしたら、泣いてる‥?
スミレの体に腕を回さない僕は、手が砂に付いていた。
これは‥スミレにとって、もどかしいだろう。
「‥お前と一緒にいる事は出来ないよ」
「どうして?」
「次に暴走したら、殺してしまうかもしれないからだよ‥」
「‥いい、よ」
「は‥?」
予想外の言葉に、思わず間抜けな声が出た。
何、言ってんの‥?この子は。
「アオちゃん、死ぬつもりなんでしょ?なら、ボクを殺してからにしてよ」
「‥‥」
「アオちゃんが死ぬなら、その前にボクはアオちゃんに殺されたい。それがボクの本望だよ」
「何馬鹿な事言ってんの」
「っ、バカはそっちでしょ!?」
ポタリ、と落ちた1つの雫。
スミレを見下ろせば、涙をいっぱい溜めていた。
耐えれなくなった涙が、一粒ずつ落ちては、染みを残す。
スミレは泣いていて。
僕はそれでもスミレの望む様には答えられなくて。
あぁ、前にもこんなシチュエーションがあった気がする。
「‥また、同じ事を繰り返すの?」
「‥‥!」
「また、皆の身体も心も傷付けるの!?」
その言葉に、僕は酷く動揺した。
それは、もうこの手で誰も何も傷付けたくないと、願っているから。
‥まったく、痛いとこ突いてくるねぇ。
「桃にね、言われて気付いた。アオちゃんがボクから離れる事は、アオちゃんの死を意味するって」
でも、それだけじゃない。
「また人を傷付けるんだって。今度は殺してしまうかもしれないって!!」
あんな出来事は、二度と起こしたくない。
僕は心からそう思っている。
だからスミレの傍にいたら‥‥
「あんな出来事、ボクは二度と起こしたくない」
スミレの口から出たのは、僕と同じ望み。
「だから絶対に、死ぬ様な真似なんてさせないんだから‥っ!!」
僕が寿命や事故以外で死ぬという事は、あの時と同じ状態になるという事‥。
本格的に涙を落としながらも、懸命にそう言ったお前の瞳は
本当に、綺麗だった。
呼吸する事も、忘れるくらいに‥。
「ど~しても、ボクを殺さないで死ぬって言うんだったら‥」
「だ、だったら‥?」