夢のつづき。
そんなインコとの想い出を頭に奈津子は穴を掘っていた。


インコの為に。


色々な想い出が頭の中をぐるぐると回り、奈津子は自分が泣いているのか泣いていないのかさえも解らなくなっていた。


穴を掘り、小さなインコの体を穴の中に沈め、そっと土をかけて埋めた。


全てを終えて奈津子はお墓の前で、もう一度泣いた。


泣きながら「今でありがとう。一緒に遊べてすごく楽しかったよ。」と思った。


その夜、仕事から帰った父親を玄関先まで出迎えに行った奈津子に父親は「ほら。」と言って小さな紙袋を手渡した。


紙袋を開くと中には生まれたばかりと思われるインコが入っていた。


「お前のインコ、猫に喰われたんだろ?新しいインコを買ってきてやったぞ。」と父親は笑顔で言った。


その笑顔は時々買ってきてくれるケーキを手渡してくれる父親のそれと一緒だった。


奈津子は知っていた。


父親がケーキを買ってくるのは、父親自身が奈津子の喜ぶ姿を見たいからだ…と言うことを。


そして、それは今回も同じだということも奈津子は子どもながらに悟った。


「お父さん、ありがとう!」と奈津子は笑顔で言った。


父親は娘が喜んだと認識し、満足そうに奈津子の頭をなで「大切にするんだぞ。」と言った。


少しも嬉しくないのに笑顔が作れるということを、このとき奈津子は知った。



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