夢のつづき。
奈津子は寂しそうなさなを見ながら、この時の事を想い出した。


インコが死んで奈津子は本当に悲しかった。


胸が張り裂けんばかりの悲痛だった。


大好きだったインコ。


後から聞いた話では奈津子が懸命にインコの墓を掘っているときに、母親が父親に電話をし「インコが野良猫に喰われて奈津子が泣いているから新しいインコを会社帰りに買って来てください。」と言っていたのだ。


この両親の心ない行動に奈津子は少なからずショックを受けた。


奈津子にとってひまわりの下に眠るインコは他のインコとは変えられない友達だった。


時に一人っ子の寂しさを癒してくれる姉であり、時に奈津子に甘えてくる妹であった。


姉妹のように大切な友達だった。


しかし、両親は奈津子のインコは替えのきく消耗品のようなものと考えていたのだ。


今のインコが死んだから、新しいインコを買ってきた。


もちろん悲しむ奈津子を心配しての事と幼いながらも理解していた。


だが、新しいインコを無条件に喜ぶと両親が考えた事は奈津子の心に大きな黒い影を作った。


< 14 / 19 >

この作品をシェア

pagetop