夢のつづき。
そんな奈津子の幼い日の出来事が、単に新しいくまちゃんを買い与えて済ます事を奈津子に許さなかった。


奈津子自身、新しいインコにはどうしても愛着がわかずに世話もおろそかになりがちだったからだ。


それを思うとさなが新しいくまちゃんを前のくまちゃんと同様に大好きになると奈津子は到底思えなかった。


あの時の両親のように無神経な大人の尺度をさなに押し付けるのは断固として避けたかった。


だから、奈津子はさなの悲しみが癒えるまで何も言わない事に決めた。


そんな事とは知らない康は「新しいくまでも買ってやればいいのに。」と無責任な提案を奈津子にしたときには腹が立った。


奈津子は「新しいくまちゃんを買っても前のくまちゃんとは違うから無意味よ。」と返した。


しかし康には理解できないようだった。


さなにとって、前のくまちゃんが唯一のお友達のくまちゃんだった。


何故、康にはそんな簡単な事が理解し難いのだろう。


奈津子は奈津子の両親と同様の苛立ちを康にも覚えた。


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