いとしいひと


「朱里?

心ここにあらずって感じね…?」


意味深な笑顔をあたしに向ける。


さすがお姉ちゃん。


「行っておいで?
約束してるんでしょう?」


「…ありがとうお姉ちゃん」


「幸せそうだね。朱里」


「うん。すごく幸せだよ」


大切な人達と一緒にいられる事が


こんなに幸せな事だなんて知らなかったよ。



「いってきます!」


あたしは玄関を開けて、橋口さんの元へと踏み出した。




「朱里ちゃん?」


耳に飛び込んで来たのは、
大好きな人のの声。


「え?橋口さん!!」


そこには逢いたかった人。


「約束まで時間あったけど…
早く逢いたくて…」


来ちゃった。って

そう話す橋口さんが、ものすごく愛おしくて。



きゅうって胸が締め付けられた。


「だいすきぃ……」


思わず出た言葉。


気持ちが溢れてしょうがない。








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