群青の月 〜『Azurite』take00〜
I−35
36との細い路地
五、六人の黒い影
どこかからの回るライトが当たって
時折 姿が映し出される
叫んだのは
…カッパじゃない
二人…頭から血を流して倒れてる
カッパは
シャツが破かれていて
頭が割れてる
その右手には、大きな石
一人はナイフを振り回し
一人が飛び掛かった
それをカッパは
廻し蹴りして沈める
カッパの蒼い目は
あの時とは違う、暗い焔に光っていて
青白い顔には
返り血が乗り、その薄い唇には
笑みさえ浮かんでいた
――正気を失ってる
そして制服達は
一人、二人と駆け出し
携帯で誰かを呼ぶ話声
一人倒れたまま呻く制服の横に
奴はゆらりと立って
静かに両手で
ちょうどそいつの頭
その真上に、石を持ち上げた