群青の月 〜『Azurite』take00〜
思い切り駆け出して
石を持ち上げたまま
不思議そうに見上げる奴に近付く
それから力任せに、カッパを張り倒すと
石の重さで
奴は後ろにふっ飛んで行った
制服連中には、まだ仲間が居たらしく
何人か、拳で殴る
後ろからナイフが走って来て
それを振り向き様に、膝を腹に入れた
飛んだナイフがカッパの横に落ちると
『音』で奴は意識を取り戻したらしく
強く両手に握り、腰の横に構えて
何か
別の事をしている様な顔付きで
ナイフの持ち主に突っ込んで行った
俺は無意識に、
それを体で止めようと、前に乗り出し
奴のボウズ頭が胸に来たから
確実に、刺されたと思った
しかし目の高さに
ナイフが持ち上げられる
――― そこに居たのは
上着をひらりと翻す、竹田さんで
そのままカッパの首に、手刀を当てると
奴はゆっくり白目になって
音を立てて、その場に倒れた
「 行け 」
竹田さんが低い声で呟く
「 …でも!! 」
「 ―…任せておけ
まだそれ位の力はあるよ 」
そうこうしている内に
倉庫のあちこちから人影
十何人が何十人になり、
また辺りに影が散らばって行く
それらと話しながら、
竹田さんは後ろを向いたまま
右手で俺に、『行け』と促す
俺は、気を失ったカッパを背負い
細い路地を、死ぬ気で走った