Happy garden.【短編】

「ん、うまい！」


誠司さんは卵焼きを口に入れた途端、顔を輝かせた。


作ったわたしも嬉しくなる。


次に、筑前煮。


たたきごぼう、とり、と見ていて気持ちいいくらい次々とおせちは彼のお腹に消えていった。


「カスミってホンマに料理うまいな。これでもうちょっと薄味なら言うことなしなんやけど」


「え、濃い？」


味見では普通だったけど、冷めて辛くなったのかな。


筑前煮をとって食べてみた。


しかし、その味はいたって普通。


今までの彼氏にだって辛いと言われたことないのに。


食べながら考えてるうちに、眉間にしわが寄っていたようで、誠司さんが慌てて、大袈裟すぎるほどに手を横に振った。


「ちゃう、ちゃう、カスミの味付けが悪いんやない。しゃーないねん」


必死になって言ってくれてるのは伝わるけど、その意味がわからなくて、首をかしげた。


誠司さんは苦笑する。