Happy garden.【短編】
テーブルを見ると、昨日のおせちの残りも広げられている。
「すっげえ! ホンマにうまそうや」
彼は歩きながら椀を覗き込むと、興奮した様子を見せた。
わたしはそんな後ろ姿を眺めながら、彼の笑顔が想像できてしまって、クスッと笑みがこぼれた。
「一応、味見しましたけど、食べたことないのでちゃんと大阪のおいしいお雑煮の味になってるかわかりませんよ」
「どんな味だって、作ってくれただけで嬉しいねん」
そう言いながら、テーブルに椀を置き、座るとそわそわと肩を揺らした。
わたしが向かいに座ったことを確認すると、すぐに「いただきます」と手を合わせた。
わたしはそんな彼の様子を見守る。
誠司さんは一口汁をすすると、顔をあげた。
「うまいやん! いつも食べてた雑煮と同じ味がする」
彼は椀に視線を落とした。
「……おかんの雑煮を思い出すな」
口元はうれしそうに緩み、でも、目もとは悲しそうな彼を見ていたら、わたしも胸がぎゅっとなった。