【企】あんたなんて大ッキライ!!
「なんで今時図書室?
今ならインターネットとかでなんでも調べられるじゃん」
分厚い本相手にルーズリーフとともに戦うあたしを見て渚は言う
「あたし、機械音痴だから。
ケータイ使いこなすのが精一杯」
そう言いながらあたしはペラペラとページをめくっていく。
窓から入ってくる心地よい風があたしの好きな匂いを運んでくる。
昔から好きだった、この本の古臭い匂い。
なぜか落ち着くんだ。
古臭い匂いをかぐと。
小学生くらいから図書室はあたしの憩いの場。
ここの高校は最高だ。
図書室は古くて
どこを見ても本だらけで
こんなに落ち着く場所はない。
渚はおもむろにポケットを探り何かを取り出す。
そして耳にイヤフォンをつけた。
音楽プレーヤーだとすぐに分かった。
渚のイヤフォンから漏れるその音楽はどこかで聴いたことのある曲で。
よく聴こえないけど、なんだか懐かしいキモチになった。
「桃も聴く??」
あたしの視線に気がついたのか渚は片方のイヤフォンをあたしに渡す。
あ…これ、やっぱり聴いたことある。
いつだったか耳にした。
この曲に思い出があるワケじゃない。
それなのになぜか、胸が熱くて涙が溢れそうだった。
どうしたんだ…あたし。
泣いてる場合なんかじゃないのに。
笑ってなきゃ…いけないのに…
『おい…!』