【企】あんたなんて大ッキライ!!





そこへ現れたのは


「…………ゆう…き…?」

あたしはイヤフォンを外した。



「え…?なんで井川くんが…??」

渚は突然現れた裕貴に驚いている。



『桃子…ちょっと来い』

裕貴は低い声でそう言うとあたしの手首を掴んだ。



「え…ちょっとっ…!!」

振りはらおうと思っても裕貴が強く掴んでいるせいで振りはらうことはできなくて。

半分、引きずられるようにして裕貴を追った。


なんで…裕貴が?


今さらあたしになんか…用はないでしょ?


『これ、被れよ』

そう言われ渡されたのは

あたし専用の、白のヘルメット


もちろん目の前には大きな黒いバイク


裕貴の瞳は有無を言わせないくらい鋭くて。

あたしは言われた通りにヘルメットを被る。


そしてバイクにまたがった。



『ちゃんと…つかまってろよ』


裕貴はあの日と同じようにあたしの手を取って自分の腰に回した。


裕貴の背中に頬をつけた。

微かに感じる裕貴の体温


それが心地よくて。


それが懐かしくて。



胸が締め付けられた。







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