いつも笑わせてくれる貴族









授業が終わって、帰る時間。





時間はかなり遅い。
もう7時で、外は真っ暗。





「ゆかり、行くで!!」

恵美が来て、あの芸人さんを待つ。


「まだあの芸人さん二人いるから待とう」

恵美は私のために言ってくれた。
こいつやけに優しいな。

でも恵美も見たいからだと思うけどな。


「見るだけでええねん。ちょっとそこ座って話してよ」

恵美はベンチを指差して、私と一緒にちょこんと座る。

やっぱ見たいだけや。








「多分もうすぐ来るはず…」

どんどん大学生は帰ってく。
もう人はほとんどいない。

だけど恵美によると、帰りがかなり遅いという。
だから気にせず待つ。




30分は待った。
いや1時間くらいかな。


出口を見ると、人影があった。
どんどんこっちに近付く。



恵美は見るだけでいいらしいから、ベンチでじっと待っとる。







そしてベンチの近くに来たあの芸人さんは何かに気付いたかのように早足でこっちの目の前に来る。


「どしたん?こんなとこで」



「誰か待ってるん?もう人いぃひんよ」


「え…っ」
恵美は話掛けられて、むっちゃビックリしてる。

「良かったらおくってこか?」

その言葉に、私もビックリする。

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