いつも笑わせてくれる貴族

「ええんすか…?」
恵美は、半開きだった口を動かす。

「ええよ。どっちから行くん?」
今日朝私にハンカチ渡して来たほうが言う。

「あっちです」

恵美は照れながらも言う。
するとそいつは、ニコッと笑った。

「奇遇やなぁ。俺も向こうやねん」

「君は?」
かっこいい方に言われる。

「私あっちです」

「じゃあ送ってくわ。暗いやろ?」

恵美はきっとこっちの人に言われたかったやろな。

だけど恵美は違う。

「……よろしくお願いします…」

立ち上がる。

すると恵美も立ち上がった。

「私もよろしくお願いします」

恵美はニコニコニコニコしながら行く。

私達も行く。


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