恋の公倍数(受験生+塾講師)



「お前、俺に言いたいことねぇのかよ」



「ないよ。もう全部言った」





本当は『大好きです』って言いたいけど。



言わない。





「なぁ、お前公倍数得意になったんだよな」


「うん!まーちゃんのおかげで」


「15と21の公倍数って何かわかる?」


「ないんじゃないの?」





「あるだろ。お前が15歳、俺が21歳・・・だから15と21の公倍数を考えてみろ」




私は必死で考えた。




「はははは。もういいよ。とにかく、俺とお前の公倍数は、ちゃんとある」




まーちゃんは私の手に持っていたコロッケを奪う。



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