薔薇姫-バラヒメ-
王子様は、にこりと…違う。
にやりと笑った。
「わかってんな?逃げようなんてバカな真似すんなよ」
………何?何なの?
あたし一体、何されんのよ!!
ぷるぷると拳を震わせながら、叫ぶ。
「騙したわね―――!?」
「うるっせぇな。黙れ」
…こんなやつ、もう王子じゃない!!
悪魔だっ!!
全っ然さっきとキャラ違うじゃないのっ!!
「…っ、今のが本当のあんたなのよね!?」
悪魔はまたにやりと笑う。
「最初の俺は、嘘の俺。疲れんだぜ?」
「―――――っ、」
徐々に、怒りが込み上げてくる。
こんなやつを少しでも王子様だと思った自分に、腹が立った。
「…そういや、自己紹介がまだだったな」
あたしの様子を気にすることなく、悪魔はのん気に天を仰ぐ。