薔薇姫-バラヒメ-
「俺はレオ。こっちが付き人のロゼリナータ。長いからロゼ」
占い師…ロゼは、無愛想な顔で軽く礼をした。
「付き人って…あんた何なの」
「俺?貴族」
あたしはその事実に絶句した。
―――貴族?
「何、ここ…何時代?」
この質問に、またもや信じられない答えが返ってくる。
「時代…?ここ、魔界だけど」
魔界。
魔物がうじゃうじゃいそうな、あの魔界。
「で、俺は魔族の中での超貴族」
「………」
じゃあ、何?
あたしを迎えに来てくれたのは、王子様じゃなくて魔族の超貴族で。
今いるこの場所は、おとぎ話のような世界じゃなくて魔界。
…なにそれ。
全然嬉しくないんだけど。