【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
「聖良!俺を見ろ。しっかりするんだ。」
突然、廊下に響きわたった声。
あたしの…大好きな人の声
あたしの心をただ一人穏やかに静めてくれる人の声。
震える身体を叱咤し、ゆっくりと顔をあげて声のする方向を見つめる。
「龍也…先輩。」
フラフラと龍也先輩へと足を踏み出し両手を伸ばし歩き出す。
急いで近付いて来てくれる先輩の姿が涙で滲んで見えなくなる。
お願い涙…先輩の姿を消さないで。
会いたかったの…龍也先輩に会いたかったの。
もう少し見つめさせて。
まだ、流れないで。先輩を消さないで。
頬を涙が伝った時、手を伸ばせば届く所に龍也先輩は微笑んで立っていた。
「聖良…おいで。」
静かに両腕を広げてあたしの納まる場所を作ってくれる。
広い胸に吸い寄せられるようにその腕に手を伸ばす。
同時に逞しい腕にしっかりと抱き寄せられた。
全身を安堵感が包み込む。先輩の優しさが流れ込んできて傷ついた心を包んでくれる。
温かい胸に顔を埋めるとそれまでの震えや恐怖が一気に消えていった。
縋るように先輩の背中に腕を回してしっかりと抱きしめる。
あたし、やっとこの腕の中に帰ってきたのね。