【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
なぜそう思ったのか分からないが
一目でピンと来た。

背中までの柔らかそうな長い髪。

少し癖があるのか縦にうねるように自然なカールで伸びている。

全体的に色素が薄いのか、真っ白な肌に薄い茶色の瞳。

何より目を惹いたのは、その鮮やかな笑顔。

4月の新緑の木々の間から零れ落ちる木漏れ日のように
その笑顔はキラキラと眩しくて
目を逸らすことが出来なかった。


…聖良…とか言ったな。

どこのクラスか調べてみるか。



このとき、俺はまだ知らなかった

自分の中に小さな想いが生まれていた事を…



その日から、気がつけば校舎のあちこちで
自然に聖良の姿を見かけるようになった。

不思議な事に、どんなにたくさんの生徒の中でも
すぐに彼女を見つけることが出来る。

まるでそこだけ輝きを放つように
聖良の姿だけが浮かび上がり惹きつけられる。


自分でも不思議だった。


この気持ちをなんと言葉で表したらいいのか解らない。


聖良の姿を捉えると、胸が熱くなる。


聖良の姿を捉えると、胸が切なくなる。


この時の俺は
この不思議な感覚を表す言葉を
まだ知らなかった。


それから3ヶ月…


聖良が階段から降ってきた日、

彼女を抱きとめた瞬間から

その想いは言葉を成し

確かな形となって俺の胸に根付いていった


おまえが好きだよ…聖良


木漏れ日がそよぐ風にゆらゆらと反射して煌く


その風景までもが愛しく思えるのは


聖良を思い出すからなのだろうか





Step2 Fin

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