【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
恐ろしい予感を振り切るようにサッと身なりを整えて、すぐにチョコレートを拾い箱に戻す作業を始める。

一体このチョコレートの山は何なんだろう

「龍也先輩。このチョコレートって何ですか?」

「処分品。」

「処分品?」

「暁と響と俺宛に届いたチョコレートだよ。俺達は本命以外の誰からも受け取らないから、色んな人の手を渡ってここまで届けられたみたいだ。」

「…これぜんぶビケトリの三人宛なんですか?」

「そうらしい。受け取らないってわかっているのに無理矢理人を通してまで押し付けてくるなんて…訳わかんねぇ。」

「…龍也先輩、受け取らないの?」

「俺は聖良以外の女からなんて何も欲しくない。絶対に受け取ってもらえないってわかっているのに持ってくるっておかしいと思わないか?大体このチョコレートを持ってくる女の中には彼氏持ちのやつも少なくないんだぜ。」

「えぇ?じゃあ何で先輩たちにチョコレート渡そうとしたりするの?」

「結局俺達はただ騒ぎたい為に利用されているんだ。アイドルに恋していると錯覚しているようなものなんだよ。…正直な話迷惑だ。」

散乱したチョコレートを拾い集めながらその綺麗にラッピングされた一つ一つに込められた想いを考える。

「…でもやっぱり彼女達は先輩のことが好きなんだと思う」

きっとドキドキしながら、龍也先輩たちが受け取ってくれるところを想像して買ったんだろうな。

なんだかこのまま捨てられちゃったら可哀相。



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