【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
「このチョコレート…捨てないであげて下さいね。錯覚しているだけの人もいるかもしれないけれど、本当に先輩たちが大好きな人も沢山いるし、少なくとも想いが込められたものだから、そのまま捨ててしまうのは可哀相だもの。」

「聖良は優しいな。…俺としてはヤキモチを妬いてくれるくらいのほうが嬉しいんだけど。」

「そりゃ、妬けますよ。でも、きっと先輩たちの顔を思い浮かべて一生懸命選んだり作ったりしたんですよ。ドキドキしたり切なかったりしながら一生懸命迷って悩んで…胸が苦しくなるような想いを込めたかもしれない。
あたしにはその気持ちがわかるから…捨てないであげて欲しいの。」

「聖良は…嫌じゃない?」

「ヤキモチは少し妬きますよ。でも嫌じゃないです。あたしはこんなに先輩に愛されているし、凄く幸せだから。」

「…まだまだ足りないくらいだよ。どうしたら俺の気持ちを伝え切れるのかわからないくらい愛しているよ。」

「クスッ…龍也先輩ったら。」

「聖良がそう言うならチョコレートは捨てないよ。でも受け取る気も無いから…。この近隣の保育園にでも寄付するよ。」

「あはっ。それ素敵ですね。子ども達喜んでくれるかな。」

「聖良のそう言う優しい所が好きだよ。」

ふわり…あたしを何かでくるむように優しく抱きしめると真っ直ぐにあたしの瞳を見つめてくる先輩は、なんだかとても嬉しそうで、あたしまで幸せな気分になって来る。

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