【長編】Love Step~冷血生徒会長×天然娘の恋愛初心者ステップアップストーリー~
オレの相棒の龍也を見ていたら、本気で誰かを愛してみたくなった。

ただ一人の愛しい人と、本物の恋ってやつをしてみたいと思うようになったんだ。



降りしきる雨の中、子猫だったオレを拾った龍也。

出逢った瞬間に感じていた。

龍也は、ずっと寂しさと孤独の中で生きていた…と。

あいつは、感情の無い冷たい瞳でオレを見た。

寒くて震えているオレを見捨てるかと思ったのに、とても柔らかく、包むように抱き上げて、自分の身体で庇うように、オレを冷たい雨から守って連れて帰ってくれた。

優しさをどう表現していいか分からない不器用なヤツだ。

頭が良くて、顔もかなりの美形で、スポーツもできる比の打ちどころの無い男だが、唯一感情が欠落して、人間味に欠けている部分があった。

オレは保護者(だと思っている)として、そんなあいつをずっと心配していたんだ。


そんな龍也を変えたのが聖良さんだ。


聖良さんは、捻くれてとんでもない方向に性格がよじれちまっている龍也と違って、とても優しくて真っ直ぐな可愛い人だ。

ニコニコといつも天使のような笑顔を振りまいて、周囲の人間を優しい気持ちにさせる。

あの龍也でさえ、聖良さんの笑顔にはメロメロで、オレにさえ見せたことが無い究極のビューティスマイルを惜しげもなく彼女に降り注いでいる。

目なんてハート型になっている事も多いんだぞ?

二人のラブラブぶりって言ったら、そりゃあオレが部屋に居た堪れないほどで…。

……っつーか、大抵は速攻で部屋から追い出されちまったりするんだけどさ。

でもさ、あの二人を見ていたら…本当にすげぇ幸せだってオーラが滲み出ててさあ…。

本気の恋ってこんなにも良いものなのかと思い始めた。

だって、あの龍也が笑っているんだぞ?

すげぇ幸せそうに満たされた顔しているんだぞ?

愛の力って言うのは、奇跡を起こすくらいすげぇもんなんだって、しみじみ思ったよ。

オレにはまだ、本気になれるメス猫(あいて)はいないが、龍也みたいな恋をいつかしてみたいと思う。

そして、いつか本気で愛する事ができる相手を見つけたら、本当に大切にしたいと思う。



二人を見ているうちに、そんな風に思うようになったんだ。

< 376 / 383 >

この作品をシェア

pagetop