【長編】Sweet Dentist
「…だからもう心配事は無いって事♪
今度は一点の陰りもない心で、どれだけお前を愛しているかを証明してやるよ。
10代のお前の体力に30代の俺のほうが勝っているって事もしっかり教えておかないとな?」

脱兎の如く逃げ……られなかった可哀想なあたしの抗議の声を唇で塞いで、そのままベッドに縫いとめてしまった、亡国の我が侭王子様。

あたしは、そのままとんでもなく長い『スイートキッス王子様スペシャル(命名 響さん)』で、ノックアウトされてしまった。

都合のいいときだけ王子様になってしまう、とんでもない暴君だけど、か弱いお姫様のあたしはすっかり彼に囚われて、逃げ出そうなんて思えなくなっている。

「お前は俺がどれだけ甘くても大丈夫な唯一のスイーツだからな。
手取り足取り最高の味に仕上げてやるよ。一生かけてな」

なんて、とんでもない台詞も許せてしまうほど、いつの間にかこんなにも彼を好きになってしまった自分が不思議だった。


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