初恋~俺が幸せにしてみせる~
家の前には男が2人

麻美が居なくなった事を俺に言いに来た2人

一瞬にして緊張した
空気が張り詰める

スーツ姿にサングラスの男達は俺を見つけると
タバコを床に捨てて
靴で踏み潰した

『場所変えるかい?』

男の質問に、俺は

『はい』

と俯き加減に言った

疲れた体に鞭を打ち
仕事をしてきた俺に
追い討ちをかけるような男達の足音に
ついて歩く俺

何を言われるのか

今現金の持ち合わせ
なんてない

こいつらは俺に
何を求めてくるだろう

考えながら歩くうちに
この前と同じ
喫茶店に入っていく

俺は深くため息をついて喫茶店に入った

目の前のコーヒー

揺れるタバコの煙

流れるBGM

全てどうでもよかった

今の俺には

『どうしても俺が
払わなきゃいけない
状況なんですか?
保証人のハンコも
押した覚えは
無いんですよ!』

意を決して言ってみた

握る手が汗ばんでいた

『サインもハンコも
もらってある』

『俺は書いてない』

『紛れもなく
お前の字だ。それより
そんな事言い出す
って事は、お前は
女を捨てる気だな』

そういうつもりはない

でもそうとられても
おかしくない俺の言葉

『そういうつもりで
言ったわけじゃない』

『じゃあ返して
もらわないとなぁ』

男はタバコを
灰皿に押し付けた
< 159 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop