初恋~俺が幸せにしてみせる~
このまま腐った医者に
なりたくない

何の為に俺は
医者になったのか

缶ビールを持って
ベランダに出た

ほとんど星は見えない

晴れているはずなのに

ここに居たら
ばあちゃんを探す事も
出来ないんだな

ばあちゃんからも
俺は見えないだろ

星になったはずの
ばあちゃん

ばあちゃんの為に
医者を目指した俺

ばあちゃんを
思い出す事さえも
忘れてしまっていた

ごめんな、ばあちゃん

涙が出てきた

頬に冷たい雫が
流れていく

ばあちゃんにこじつけて泣きたかった

ただそれだけだった

自分の情けなさ

愚かさ

全部がこみあげる

そして麻美の顔が
浮かんでは消える
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