初恋~俺が幸せにしてみせる~
『大介…。私、もう
めげないよ。両親に
何を言われても
諦めたりはしない。
それでダメでもきっと
後悔なんてしない』

『俺も。ちゃんと今の
気持ちを伝えて
俺を愛してもらえるか
わからないけど
逃げたりなんかしない』

美晴の瞳から涙が一滴
零れ落ちていった

俺はその涙を手で拭った

その瞬間に、どんどん
美晴の瞳から涙が
流れてきていた

抱きしめたいけれど
それはしてはいけない
ような躊躇いがあった

ほんの少し前に、美晴とベッドの中で一つに
なっていた事が嘘の
ように思えてくる

何かを吹き飛ばすように激しく乱れた美晴の
意図がようやく見えた

きっと決心する為に
俺に抱かれたんだ

俺も千穂に対する感情を打ち消す為に、美晴を
愛そうとしていただけ

本当の気持ちはそこには無かったんだ、お互い

新しい自分になろう

今この瞬間から

前向きに進もう

涙はそれからでも
遅くはないんだから

後悔だけはしたくない

もっと強い自分に
なれるはず
< 238 / 324 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop