討竜の剣
難易度の高い依頼であるのは間違いない。

それはナハト自身も理解しているだろう。

だが…これは後から聞いた話だが、彼女はこのファイアル地域に来る前に、フーガやアイスラ、ライストといった土地にも足を運んだのだという。

ナハト達ドーラの民には天敵とまで言われる風の民フーガの人間にまで、頭を下げて助力を求めたという。

残念ながらどの地域の人間も、ナハトに力を貸してくれる事はなかったが、その話だけでも、ナハトの真剣さが伝わってくる。

決してドーラの貴族の道楽から始めた事ではない。

国を、故郷を、親しい人々を守る為に。

ドーラの貴族として、ドーラの土地を守る為に、ナハトは自ら救いを求めに来たのだ。

ならば。

せめて俺だけでも、差し伸べられたナハトの手を握り締めてやらなければ。


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