討竜の剣
ナハトもその事は察していたらしい。

仕留めるのは諦め、スピードを上げて振り切ろうとする。

幸い、山岳地帯まではもうすぐだ。

そのまま速度を上げて目的地まで一気に向かう。

尚も俺達に付きまとう駆竜の群れ。

「しつこい奴らだ!」

高く跳躍して頭上から襲い掛かる一匹の駆竜を、一突きで貫いて地面に叩き落とす。

他の駆竜は、やられた仲間には目もくれない。

ひたすらに追跡してくる。

それは仲間の仇討ちの為なのか。

それとも目の前の獲物を仕留めるという本能なのか。

もう群れの数は十匹を超え、手に負えない数となっていた。

振り切れなければ、こいつらの餌にされてしまう。

「もっとスピードでないのか!?」

「無理…!…もう目一杯…!」

無表情なナハトでさえ、焦りの色が窺える。

既に山岳地帯へと続く登り坂に入ったというのに、駆竜の群れはまだ諦めない。

瞬時に流れ去っていく周囲の風景。

その風景の中に…鋭利に切り取られた岩の姿があった。


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