討竜の剣
ここで少し不思議に思う。

刃竜を圧倒するほどの兵器、『竜滅砲』を持つナハト。

彼女はあれ程の兵器を持ちながら、何故剣を求めるのだろう。

「言った筈」

ナハトは表情一つ変えずに語る。

「汚竜には…ドーラの兵器すら通用しない」

…その言葉の意味に、俺は戦慄した。

刃竜にダメージを与えたあの竜滅砲すらも、汚竜には通用しないのか…。

「竜滅砲だけじゃない…刃竜の角で造った剣さえ…たやすく刃こぼれする筈…それが汚竜という存在…」

そう言ったきり、彼女は黙り込んでしまった。

そう。

数こそ少ないものの、刃竜の角を鍛えた剣はこの世界に何本か存在する。

しかしナハトはその剣を求めるのではなく、一から新しい、そして更に強力な剣を欲した。

それこそが、何より汚竜の強さを物語っていた。

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