討竜の剣
そうとわかれば。

俺はすぐに武具の店にいるであろう、ナハトの元へと急いだ。

…既に夕刻という事もあって、武具屋は店仕舞いしている。

俺が店に駆け込むと。

「おお、火の玉」

店主が店内の片付けをしている所だった。

「お嬢ちゃんなら奥の鍛冶場だけど…行かない方がいいぜ?」

「え?」

俺は思わず足を止める。

…鍛冶仕事というのは、ああ見えて繊細な作業だ。

集中力を乱せば、それは即座に剣の仕上がりに影響する。

精魂込めた鍛冶仕事ほど、名剣が生まれる。

その為にはナハトの集中力を乱す訳にはいかない。

剣を扱う者として、そのくらいの事はわかっているつもりだ。

貴重な情報を早く知らせたいのは山々だが、ここはナハトの仕事を優先させてやりたい。

「わかった…また来る。ナハトを頼むぜ、おっさん」

俺はそう言い残して、店を後にした。


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