討竜の剣
ナハトが鍛冶場を出てきたのは翌日の日も高く昇った頃だった。

全身に玉のような汗を浮かべ、疲労した表情で姿を現したナハト。

その手には、彼女の背丈ほどの刀身を持つ片刃の剣が握られている。

「ナハト…それが…」

顔さえ映り込むほど磨き上げられ、鍛え上げられたその美しい美術品のような剣に、俺は魅入られる。

勿論ただの観賞用ではない。

あの刃竜の角を加工し、世界一の業を持つドーラの民であるナハトによって鍛えられた剣だ。

名剣と呼んでも差し支えはないだろう。

「…仮の柄と鍔を取り付けておいた…すぐにでも…使える…」

そこまで言って、彼女は足をもつれさせる。

「ナハト!」

俺は慌てて彼女の体を支えた。

無理もない。

丸一日以上鍛冶場に閉じこもり、食事も睡眠もとらずに剣を鍛え続けていたのだ。

体力を消耗するのも当然だ。

「武具屋の店主から…聞いた…牙竜の所在が…」

「今はいい」

俺はナハトに肩を貸したまま、宿の方角へと歩き出す。

休息と栄養補給。

それがナハトにとって今必要な事だった。

< 51 / 159 >

この作品をシェア

pagetop