討竜の剣
さて。

俺は剣を背中の鞘に納め、腰の後ろに差していたナイフを抜く。

刃こぼれしにくい頑丈なナイフで戦闘に使えない事もないが、このナイフの用途は素材の剥ぎ取り。

こうして仕留めた獲物から素材を剥ぎ取って、街で売りさばいたり、自分の武具の強化に使用する。

今回の場合は後者だ。

剣を更に強力なものにする為、牙竜からも素材を確保しなければならない。

もちろん牙竜から剥ぎ取るのは、その鋸状の牙だ。

薄く鋭い牙が、隙間なくびっしりと生え揃っている。

慎重に取らないと、指を怪我してしまいそうなほどの鋭利さだ。

「その牙は…剣の峰の部分に取り付ける」

ナハトが言った。

通常の戦闘時には刃の部分で、その刃が立たないほどの鎧や甲羅を持つ相手には峰に取り付けた牙竜の牙で斬りつける。

これほどの鋭利な牙なら、甲殻を持つ魔物の表皮さえも斬り裂く事が可能だろう。

俺の今持っているこの剣も、更に強力になるに違いない。


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