討竜の剣
そのナハトの言葉は、不思議と俺の心に響いた。

落ち着き払い、俺に迫る危機など微塵も気にしていないかのようなナハトの声。

その声は何故か俺に落ち着きを取り戻させた。

…俺は立ち止まる。

背後からは俺に襲い掛かる炎の帯。

情け容赦なく紅蓮の地獄に誘おうとする、赤き死神。

その炎の魔法に向き直り。

「やぁぁああぁあぁぁっ!!」

俺は大上段から剣を振り下ろす!

その瞬間、炎が割れた。

形無き、そして物理攻撃など受け付けぬ筈の炎が、俺の太刀筋によって真っ二つに断ち斬られる!

…その光景を、クラーゼが、そして剣を振るった俺さえもが驚愕の表情で見つめる。

唯一人ナハトだけが、さも当然の如く見つめていた。

そして悟りを開いた賢者の如く呟く。

「これ以上の争いは…無意味…剣も素材も…私達が持っていく…大丈夫…悪いようには…しない…」

自慢の魔法を剣で両断され、誇りも矜持も粉々に打ち砕かれたクラーゼ。

そんな彼を尻目に、俺達は森を後にした。

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