討竜の剣
言葉の意味を悟ったのか、料理を口に運んでいたナハトの手が止まった。

その瞳が俺に注がれる。

心なしか頬が染まっている。

「はっはっはっはっ!」

豪快に笑いながら、男が俺の背中を強く叩く。

「よかったじゃねぇか火の玉!お嬢ちゃんの方は満更でもないみてぇだぜ!?」

「え…な…」

狼狽するナハト。

だから俺までうろたえる。

「ば、馬鹿!違う!俺とナハトはそんなんじゃない!大体火と土だぞ!平民と貴族だぞ!それなのに…」

「かてぇ事抜かすな!火の民に重要なのは生まれや身分じゃねぇ!逞しく生き抜く勇気と力だ!」

またも誰かが椅子の上に立ち叫ぶ、いや吠える。

「未来の夫婦狩猟者に!乾杯!」

それを機に、酒場は祭りの如き様相を呈してきた。

訳もわからないうちに料理がテーブルにどんどん運ばれる。

何故か祝福の言葉をかけられ、末永く幸せにだの、子供は魔法が弱いだろうから剣一本に絞らせろだの、理解しがたい会話が延々と続く。

そんな一方的な展開に翻弄されつつも、俺とナハトは心から楽しめる時間を過ごした。

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