討竜の剣
フィルナの厚意に甘え、俺達は日暮れ時まで森で過ごした。

優しい風のそよぐ森。

ここが砂漠の真ん中とは思えないほど快適な場所だった。

科学による発展によって栄えてきたドーラの民であるナハトも、この森は気に入ったようだ。

「自然との共存…考えるべきところもある…」

なんて一人ぶつぶつ呟いていた。

ともあれ時間は流れ、やがて日が傾き始める

夕刻。

いよいよ甲竜の動き始める時間帯だ。

「奴は目覚めると同時にこの森の近くにある湖に向かう。喉を潤すためにな」

フィルナが言った。

「何から何まで有り難う、フィルナ」

鞘に納められた剣を背負い、俺はフィルナに告げる。

「気にするな…甲竜が我が物顔でのさばるせいで、他のエルフや動物が恐れて困っていたのだ。討伐してくれるなら私達も助かる」

彼女は軽く微笑んだ。

「また…遊びに来て…いい…?」

おずおずと言うナハト。

そんな彼女に。

「ああ…今度は秋に来い。美味い木の実をご馳走してやる」

フィルナは頷いた。

…エルフ。

優しく美しく寛容な森の民。

彼女のような者に出会えて本当によかった。

俺達は見えなくなるまで手を振りつつ、甲竜討伐の為に森を後にした。





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