討竜の剣
はぐれ竜が迷い込んで一週間後。

ドーラ地域に住む人間が次々にその消息を絶つ。

その中にはナハトの家族も含まれていた。

原因は容易に想像できる。

ドーラは軍隊を派遣し、迷い込んだはぐれ竜の討伐に乗り出した。

土の魔法を行使できる貴族階級の者達と、ドーラで開発された火器を装備した兵士の一個師団。

…しかし、はぐれ竜は討伐できなかった。

はぐれ竜は、既に只の竜ではなくなっていたのである。

ナハトは言う。

「はぐれ竜は…ドーラ地域から排出された汚染物質を体内に取り込み…既に私達の知らない生態へと変貌していた…あれは只の竜ではない…『汚竜(おりゅう)』…突然変異を起こした、新種の竜…」

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