クライシス
「あ、お疲れっス、市橋です、木下さん今、良いっスか?」
雄介は木下に電話をした。
『どうした?彼女と会ってんじゃ無いのか?」
「はい、そうなんスけど、一つお願いが有りましてーー」
雄介は少し笑いながら木下に言った。

「市橋様ですね。五〇一号室のツインの部屋をお取りしております」
ホテルのフロント係りがそう言ってキーを雄介に渡した。
由香は呆気に取られていた。
「さあ、行くぞ」
雄介がそう言う。由香はおずおずと頷いた。
「あ、後、シャンパンとなんか適当に食べ物を」
雄介がフロント係りに言うと、彼はお辞儀をした。
「かしこまりました。後ほどお持ち致します」
そう言うと雄介は満足そうに頷く。
これ位の待遇は良いだろう。雄介は思った。
ゼロには常時、ホテルの部屋をキープしている。もし、マルタイの人物が急遽ホテルに泊まっても尾行が続けられる様にだ。この支払いは領収書に残さなくても良い。秘密の経費と成っている。
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