クライシス
十二月三十日十三時三十分北朝鮮平壌
雄介は決行日である、明日の為に平壌市内で準備に周っていた。あらかた準備を終えると、駅に向かって歩く。
しばらく歩いた時に、ふと違和感を感じた。何かがおかしい。
目の前に電気店があった。その電機店のショーウインドウの前に立つ。そして、ガラスに映る自分の後ろの風景を見た。こうすれば、自然に後ろを観察出来る。
すると、人混みの中に赤い服を着た女が立っていた。その女は雄介が立ち止まると、同じく歩みを止めて辺りを見回している。
不味い。尾行か。雄介は焦った。
今、この時点で北朝鮮の当局に見つかってはマズイ。明日の計画が全てパーだ。
雄介は少し考えて、その女に近付く。そして声をかけた。
「すみません、今、何時頃ですか?」
声を掛けられた女はビックリした表情をした。
賭けであった。普通、尾行対象者から尾行者に声をかけない。もし単純に雄介達の目的が分からずに尾行をしているだけならば、これで不審は消えるはず。そう睨んだ。
だが、雄介の予想は完全に外れた。
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