クライシス
「少しは食べろ」
三宅が言っても雄介は食べない。三宅は溜め息をついた。
辺りは暗くなって来た。もう夜だ。寒さも凌がなければならない。
三宅は立ち上がると雄介に声をかけた。
「行くぞ」
雄介は黙っている。
三宅は雄介を引き起こした。そして顔を平手で叩いた。
「しっかりしろ!いつまで呆けてる!」
雄介が顔を上げた。
「二谷とターナーは捕まった!後は俺達でやるしか無いんだよ!」
三宅が叫ぶ。雄介は三宅を見つめる。
「……無理っスよ」
雄介が呟いた。
「無理っス……俺らだけでは出来ない……」
雄介は力無く呟いた。
「無理じゃねー!二谷が何故俺を逃がしたと思ってる!それを分かってんのか?」
三宅の言葉に雄介は三宅を見た。
「……逃した?」
「そうだ。二谷は俺を逃がした。保衛省が踏み込む直前、ターナーが異変を掴んだ。そのまま全員が逃げても良かった。が、二谷は俺だけを逃がした」
三宅の言葉に雄介は激しく瞬きをする。
「わざと、捕まった……?」
「そうだ。何故ならば全員が逃げれば俺達は逃げるだけで手一杯に成って、作戦が実行出来ないからだ」
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