クライシス
三宅は暗闇の森を歩く。月明かりだけを頼りに三宅は歩いた。
雄介に失望をしていない。奴はまだ若い。仕方が無いさ。そう思っていた。
いきなり研究員が無理矢理北朝鮮に連れて来られた。そりゃ誰だって怖い。
三宅は夜空を見上げた。星が綺麗だ。
三宅が北朝鮮を離れて十五年が過ぎた。だが、あの頃見ていた星空は変わらない。
そう三宅が思っていると、後ろから「ガサッ」と言う草を踏む音がした。
三宅はすぐに銃を取り出して音がした方に構える。
音は止まらずに、ガサガサと言う音を立てて近づいて、月明かりに照らされた。
銃口の先には、雄介の顔があった。
三宅は銃を下ろした。
雄介は三宅を睨むと、フウと息を吐く。
「三宅さんじゃ、分からんでしょうが」
そう呟いた。三宅は首を傾げる。
「抗ウイルス薬が正しい物かどうかも分からんでしょ!」
雄介が怒った口調で言う。
三宅は思わず笑ってしまった。そして雄介の頭を軽く叩いた。
雄介も笑う。
「さあ、行こうか?」
「行きましょう。日本を救いに……!」
二人は笑いながら、暗闇を歩く。例え成功しても、自分達が日本に帰る術が無い事も知らずに。






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