クライシス
コールが鳴る。出てくれ、頼む。そう思いながら電話をかけていた。
 十コールを越えた時にガチャリと言う音と共に相手が出た。
『河野、警備局長か』
 河野は震える声で返事をする。
「はい」
『はじめまして。私はキジだ……!』
 その言葉に河野は受話器を握りしめた。
 コイツが伝説のマルトク『キジ』。この男の情報で日本は何度救われたか分からない。
 河野は二谷のその功績を奪い、自分の手柄にした。そして二谷は河野が原因で交通課に回された。全ては自分が原因だと、河野は認識していた。
 新聞を見て河野は違和感を感じた。今日は一月二日。新聞各紙が休刊だ。にも拘わらず新聞が届いていた。そして、その違和感を探る為に、河野が見つけたのが求人欄にあった『キジ』の文字と電話番号だった。
 キジからの連絡が自分とは皮肉なもんだ。そう思った。
『私を探していたんだな?』
 キジが語りかける。
「はい。至急お願いしたい事がございます」
『市橋君の事だね?』
 察しが早い。どんな情報網を持っているんだろうか?河野の疑問に思ったが続けた。
「我が国は貴国に何も敵対意識はございません。ですが、市橋の救出に自衛隊を派遣致しました」
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