クライシス
朝鮮半島では日本からの出戻りの朝鮮人に対して差別が行われた。特に北朝鮮では、その差別が酷かった。
 チェはその差別が辛かった。そして、いつしか日本の友人達が恋しく思っていた。日本の友人達はチェを一切差別はしなかったからだ。
 チェはその差別を跳ね退けるべく、猛勉強をした。そして軍隊に入り韓国との戦争に身を投じて活躍する事により地位を高めた。
「だがね、我が国は日本に仕返しがしたかったんだ。我が国はいつか日本に攻め込む恐れがあったのだ」
 チェはそこまで語りお茶を飲んだ。雄介はただ黙っている。
「君の仲間がだ。友達でも良いが、別の友達の事を嫌いなんだよ」
 チェは雄介の顔を見つめる。
「だが、その別の友達も君に取っては大事な友達だ。さて君ならどうする?市橋君」
 チェの突然の問い掛けに雄介は考えた。そして何かを思い出した様に顔を上げてチェを見た。
「チェ……さんです」
 その答えにチェは満足そうに笑った。
「そうだ。私はこの国を愛している。だが日本も好きだ。だから私は敢えて反日の急先鋒を取ったのだよ」
 チェがゆっくりとお茶をすすった。
「私が日本を攻めない限り、誰も日本を攻撃出来ない様にね」
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