クライシス
―― 一月八日十四時二十分 大阪府大阪大学――
「殺された?」
「そう。昨日の晩にな」
 雄介の言葉に捜査一課の井上が答えた。井上は自販機でコーヒーを買うとそれを雄介に渡す。
「俺達が逮捕したキムは府警本部の留置所に移動されとった。が、昨晩留置係りがキムの様子を見に行った所、反応が無い。よく見ると口から血を吐いとった。死因は毒殺や」
 井上はグビリとコーヒーを飲む。
「ちょっと待って下さい。あんな留置所なんて警察関係者以外に侵入出来ませんやん」
 雄介の言葉に井上は頷く。
「その通り。出来ひん」
「て、言う事は犯人は警察関係者?」
「いや、この前言うたイ・ミンホンやろう」
 雄介は目を見開いた。
「じゃ、じゃあ、既に誰かに成り済まして?」
「ああ。一応、今公安が全警察官を洗っとる」
 井上がそう言うと、雄介を見た。
「でな。一応、市橋君。自分も容疑者の一人に入ってんねん」
「はい?」
 雄介が顔を上げる。
「マジっスか?」
「マジ」
 雄介は溜息をついた。
「スマンけど、いくつか質問エエか?」
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