クライシス
雄介の下にいた子供が泣いていた。
「大丈夫?」
 雄介が尋ねる。子供は泣きながら頷いた。どうやら外傷が無い。
 警官やSAT隊員も起き上がる。
「とにかく、倒れている人達を」
 近くにいた制服警官に声をかけた。警官は口から血を流しながら頷いた。
「井上さん」
 雄介が井上に声をかける。
「くそ!アイツはわざとパニックを起こしやがった!」
 井上が額を押さえながら舌打ちをする。屈強なSAT隊員も負傷している人間がいた。
「とにかく、イを」 
 井上が呟く。
 雄介は考えた。どこだ?アイツはこの混乱に乗じてウイルスをばらまくのだろうか? 多分そうする。自分達に見つかった以上はそうする筈だ。もう韓国大統領を待たないだろう。
 と、すると、どこで、どの様にばらまくか?
 ウイルスの空気中に生き残れる時間はおよそ三分。今、撒いても意味が無い。もっと効果的で、尚且つ自分に被害を被らない方法は?
 雄介は考えた。そんな方法が有るだろうか?
< 256 / 274 >

この作品をシェア

pagetop