クライシス
―― 一月九日九時二十五分 東京都千代田区首相官邸――
「総理、大阪へはどうされますか?」
秘書官の言葉に桜井が息を吐く。
「行かない訳にはいくまい」
「ですが、万一、テロが決行された場合は――」
「韓国大統領を招いておいて、大統領だけに危険な目に合わすわけにはいかん。私もその場に居る」
桜井がこうなったら、誰の言う事も聞かない。それを理解している秘書官は諦めて溜息をついた。
「では、私も総理から一時も離れずにいます」
その言葉に桜井は少し笑った。
―― 一月九日十二時四十五分 大阪府警本部――
「まだ、見つからんのか」
篠原長官の言葉に、警察庁、府警の幹部達は黙っている。篠原は溜息をついていた。
―― 一月九日十四時四十分 大阪大学――
「雄介はどこに行きましか?」
楠木の質問に助教授が首を傾げる。
「あ、なんか府警の科捜研に行くって言ってましたよ」
「科捜研?」
「いや昨夜に帰るときに言われて、今朝から見てないんで直行ですかね」
楠木も首を傾げていた。
―― 一月九日十八時三十五分 大阪市中央区大手通信会社営業部――
「鈴宮さん、悪いけど明日頼むな」
課長の言葉に由香は頷いた。
「はーい、梅田店のセールの説明ですね……ああ、明日から三連休やと思ってたのに」
「まあまあ、そう言わんと。三連休やから忙しい思うけど頼むわ。ちょっと手伝ってやって」
「え?手伝いもするんですか?」
「いや、ちょっとやちょっと」
「まあ、はい。分かりました。頑張って売り上げに貢献します」
由香は笑って課長に答えていた。
「総理、大阪へはどうされますか?」
秘書官の言葉に桜井が息を吐く。
「行かない訳にはいくまい」
「ですが、万一、テロが決行された場合は――」
「韓国大統領を招いておいて、大統領だけに危険な目に合わすわけにはいかん。私もその場に居る」
桜井がこうなったら、誰の言う事も聞かない。それを理解している秘書官は諦めて溜息をついた。
「では、私も総理から一時も離れずにいます」
その言葉に桜井は少し笑った。
―― 一月九日十二時四十五分 大阪府警本部――
「まだ、見つからんのか」
篠原長官の言葉に、警察庁、府警の幹部達は黙っている。篠原は溜息をついていた。
―― 一月九日十四時四十分 大阪大学――
「雄介はどこに行きましか?」
楠木の質問に助教授が首を傾げる。
「あ、なんか府警の科捜研に行くって言ってましたよ」
「科捜研?」
「いや昨夜に帰るときに言われて、今朝から見てないんで直行ですかね」
楠木も首を傾げていた。
―― 一月九日十八時三十五分 大阪市中央区大手通信会社営業部――
「鈴宮さん、悪いけど明日頼むな」
課長の言葉に由香は頷いた。
「はーい、梅田店のセールの説明ですね……ああ、明日から三連休やと思ってたのに」
「まあまあ、そう言わんと。三連休やから忙しい思うけど頼むわ。ちょっと手伝ってやって」
「え?手伝いもするんですか?」
「いや、ちょっとやちょっと」
「まあ、はい。分かりました。頑張って売り上げに貢献します」
由香は笑って課長に答えていた。