クライシス
雄介は由香を抱きしめた。
「イの死亡を確認致しました。はい……感染者は一名。一般人です」
 警官隊が報告をしている。その言葉に由香が再び震え出した。
「雄介、私、私……死ぬの……?」
 由香が泣く。雄介は由香に微笑みかけると後ろを向いた。
「防菌服を持って来て!そして、隔離病棟に搬送!」
 雄介はそれだけ言うと由香を見た。
「由香」
 由香が泣きじゃくる顔を雄介に向ける。
「大丈夫や。由香は死なへん。俺は命がけで北朝鮮に抗ウイルス薬を取りに行った。それが有るから大丈夫や」
 雄介がそう言うと、防菌服を持った警官とストレッチャーが入ってくる。
「これを着て、病院で待っててくれ。すぐに戻る」
「雄介」
 そう呟く由香に防菌服が着せられストレッチャーに乗せられた。
「雄介……」
 由香がシールド越しに雄介を見つめる。由香は震えている。
 震える由香の手を握り、雄介は由香の顔に顔を近づけた。そしてシールド越しにキスをする。
「約束する。俺は由香を絶対に救うから」
 その言葉に由香は雄介を見つめた後に、少し笑い頷いた。震えも止まった。どうやら落ち着いたらしい。
 そのまま運ばれていく由香を見つめる。


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