クライシス
赤木と井上は大阪府警本部の捜査一課の刑事である。


赤木は係長で井上は今年の春に一課に所属されたばかりの新米だ。


今日は本部に出勤途中に夜勤の係りから連絡を受けて、現場に直行となった。


途中で既に本部に出勤していた井上に拾って貰い現場までやってきた。


現場の前で野次馬の整理をしている制服警官が赤木と井上の腕章を見ると、敬礼をして道を開けた。


赤木と井上は手を上げて立ち入り禁止のテープを跨いだ。


現場はアパートの二階であった。


階段を上がると、ドアの前にも制服警官が立っている。


赤木は開いたドアから中を覗くと鑑識と所轄の刑事課、機動捜査隊の人間が入り混じっている。


「渋滞中やな」


赤木が呟いた。


狭い部屋にこれだけ居たのでは入れない。


中に居る一人の中年刑事が赤木に気がついた。


「赤木係長」


中年刑事はそう言って部屋の外に出て来た。


「宇野ヤンか」


赤木は笑って答えた。


「もうすぐ鑑識が現場検証を終わりますわ、中に入りますか?」


「いや、別にエエわ・・・後から嫌っちゅうほど仏さんの写真を見る事に成るし・・・男やろ?」


赤木がそう言うと宇野が笑って答えた。


「ベッピンやったら見るけど・・・?」


二人は笑う。


「ああ、井上・・・お前は見とけ」


赤木は井上を振り返って言った。


「ああ、コイツは井上言うて今年の春に一課に入ったやんけどな」


赤木が井上を紹介する。
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