スカーレットの雪


…吹きさらしの屋上は、凍え死にそうな程寒かった。

奏ちゃんが朝くれたほっかいろも、もう冷たくなっている。

それでもあたしの五感は、今微妙に麻痺してるから。だから寒いと、あまり認識できてない。

力の抜ける様にその場に座り、ぼんやりと夜の街を見下ろした。


…今日、何があったんだろう。


普通に、1日が終わるはずだった。

終わって、そして、明日はクリスマスイブで。
奏ちゃんと二人、幸せなデートをするはずだったのに。

「…奏ちゃん」

呼べば今すぐ、あたしのもとに来てくれそうな気がした。でもそんなことあり得ないことだって、よく解ってた。


『ホワイトクリスマスになるかなぁ』


…神様。

雪なんて降らなくていい。

クリスマスもプレゼントも、みんなこの世からなくなっちゃってもいい。


あたしには、奏ちゃんしかいらないの。


奏ちゃんがいれば、それでいい。


それでいいのに。




どうしてあの時、あたしは歩道橋を渡らなかったんだろう。

どうしてあの時あたしは、奏ちゃんの声が聞こえなかったんだろう。

きりのない『どうして』が、あたしの中を駆け巡っていた。
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