スカーレットの雪
……………

いつもは居眠りする授業も、今日は全部起きていた。授業を聞けば聞く程、不安が増長していく。

それは全て、もう聞いていた話だった。他でもない、『今日』聞いた授業内容で。


…本当にあたし、過去に戻ってきたのかもしれない。

12月23日を、もう一度やり直すために。

まるで賭けをするかの様に、あたしは携帯のバイブを切った。

もしこれが本当にタイムスリップなのなら、この時間、メールが来るはずで。

携帯を机の中で握りしめたまま、何かを祈る様な気持ちで待った。

「こーら、矢槙君!携帯見えてるわよっ」

ドクンと、心臓が跳ねた。恐る恐る目を開き、携帯をそっと見る。

暗い机の中で、メールが来たことを知らせる光がチカチカと瞬いていた。

「あー…見えました?」
「見えてます。はい、没収」

ばつが悪そうに苦笑しながら、奏ちゃんは先生に携帯を差し出した。

「放課後職員室ね」

あたしに言った様に、先生は奏ちゃんに言った。あたしがバイブを切らなかったら、あたしが見つかってたはずで。

冷や汗がつうっと、背中を伝った。


…間違いない。あたしは23日をやり直してる。

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