スカーレットの雪


………………

家に帰り、ベッドの上で膝を抱えていた。

大丈夫だと信じていても、どこか不安は消えない。

不安を振り切る様に軽く頭を振って、膝に顔を埋めた。


…奏ちゃん…。


その時不意に、携帯が鳴った。驚いて心臓が跳ねる。

微かに震える手でディスプレイを見ると、そこには亜依の名前があった。
一瞬、胸を撫で下ろす。

亜依からの電話は過去の『今日』でも確かにあった。そして、その内容も知ってる。

「もしもし?」
『あ、緋那ぁ?』

微かに聞こえる映画のアナウンス。やっぱり、映画館だ。

「どしたの?」
『今映画館なんだけどねー、明日緋那が見るって言ってた映画あるでしょ?あれ、なんかほぼ満席だよ』
「うそ、ほんと?」

知ってたけど、同じように反応する。

『まだ少しなら席あるし、予約しとこうか?』
「ほんと?いいの?」
『いいよー、明日チケット渡すし』
「ありがと~っ」

亜依と話してたら少しだけ安心してきた。大丈夫、いつも通りの時間が過ぎてる。

非日常的なあんなこと、絶対起こらない。

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